暴力団関係者による無許可営業は厳罰必至
- 荒井 哲也
- 6月23日
- 読了時間: 4分
風営法違反事件 被告の暴力団幹部とその妻 起訴内容認める
佐賀市の繁華街で、従業員の接待を伴う飲食店を無許可で営業していたとして、風営法違反の罪に問われている暴力団幹部とその妻の裁判が始まり、2人はいずれも起訴された内容を認めました。 指定暴力団道仁会系の暴力団幹部、秀島竜二被告(48)と妻で飲食店経営の秀島美恵子被告(39)は、おととし6月からことし7月にかけて、佐賀市内の3つの社交飲食店で県公安委員会の許可を受けずに客に酒などを提供し、従業員の接待を伴う営業をしたとして、風営法違反の罪に問われています。
29日、佐賀地方裁判所で開かれた初公判で、2人はいずれも起訴された内容を認めました。 上記の記事を読んで、感想と行政書士の立場で営業関連に関するアドバイスをまとめてください。 検察は冒頭陳述で「竜二被告が従業員の名義で飲食店の営業許可を取得するよう従業員に指示し、夫婦の名義で許可を受けないまま2人で風俗営業を営んで犯行に及んだ。飲食店の家賃などは美恵子被告が支払うなどした」と指摘しました。
29日の裁判では、美恵子被告が3店舗のうち2店舗で「経営に関与しているとは思わなかった」と述べ、弁護側は「妻は手助けをしたほう助程度の関与にとどまる」と主張しました。
● 起訴内容を認めるも、責任逃れの主張が一部見られる
被告夫婦ともに起訴内容を認めてはいるものの、妻の責任を軽減しようとする弁護側の主張が印象的です。
しかし、家賃の支払いや営業関与の実態が認められれば、「名義を貸していない」とする言い訳は通用しません。
● 「従業員名義で営業許可を取得」という手法の悪質さ
名義貸しは風営法上の重大違反であり、申請時の虚偽申請にもあたるため、営業許可そのものが無効となります。
背後に暴力団が存在するケースでは、公安委員会も厳重に監視・摘発を行う対象として扱います。
【行政書士の立場からのアドバイス】
①【名義貸し(形式的代表者)を絶対に許してはならない】
「実際の経営者が別にいる」「暴力団関係者が背後にいる」といった場合、 たとえ名義人が一般人であっても、申請そのものが違法・無効になります。
申請時には、実質的経営者が誰か(資金の出所・利益の分配先)まで確認する義務があるといえます。
②【暴力団関係者の関与チェックを徹底する】
暴力団排除条例により、風営法許可に際して「反社会的勢力との関係なし」が明確に求められます。
実務では、以下のような資料の提示が求められます:
反社チェック同意書(警察確認用)
資金提供者の調査
契約書類の名義と実質の一致確認
③【夫婦・親族間でも「形式的な名義」と「実態の経営者」の違いを明確に区別】
たとえ夫婦であっても、営業主体が誰であるか(資金、運営、指示系統)を明確に区別する必要あり。
本件のように、名義だけが妻で実際は夫が経営する構図は、風営法違反だけでなく、刑事責任にも発展します。
④【継続的な遵法指導と許可後のフォローを徹底】
行政書士は単に「許可を取る」だけでなく、許可後も営業が法に適合しているかを継続的に確認・助言する立場です。
「看板だけ変えて中身は同じ」といった実態を見逃せば、行政書士自身も責任問われるリスクがあります。
この事件は、風俗営業においてしばしば問題になる「名義貸し・反社関与・無許可営業」の典型的な組み合わせです。行政書士にとっては、「実態と形式の一致」こそが最大のチェックポイントであり、許可の可否判断に際しては、法令だけでなくモラルとリスク管理意識が求められます。
違反を未然に防ぎ、許可制度の信頼を守るために:
■ 形式上の要件だけでなく、実質的経営実態を把握・報告
■ 反社とのつながりの有無を慎重に調査・記録
■ 名義貸し・借りの打診があれば即座に断る
■ 風営法違反が疑われる場合は、業務受任を断る判断も必要
くれぐれも注意しましょうね。
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