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「知らなかった」「グレーゾーン」は通用しない時代

  • 荒井 哲也
  • 6月24日
  • 読了時間: 4分

新潟市中央区の飲食店、営業許可得ずに客を接待か…

風営法違反容疑で東区の会社役員ら男4人逮捕・新潟県警  新潟県警新潟中央署、新潟署、県警生活保安課の合同捜査班は11月6日、風営法違反(無許可営業)の疑いで、新潟市東区の会社役員(33)ら男4人を逮捕した。  


ほかに逮捕されたのは、いずれも中央区の会社役員(34)、飲食店従業員(23)、飲食店従業員(27)の3容疑者。  4人の逮捕容疑は、8月中旬〜10月初旬、共謀して新潟市中央区東大通1の飲食店「Bar#5+(バーナンバーファイブプラス)」を営み、県公安委員会から風俗営業の許可を得ずに従業員の男女に客を接待させた疑い。  


新潟中央署は4人の認否を明らかにしていない。



● いまだに多い「バー業態を装った接待営業」

  • 「Bar」や「Lounge」を名乗りながら、実態はキャバクラ的な接待行為を行っている店は全国に多数あります。

  • しかし、名称や内装ではなく“実際の接客行為”が許可の要否を決めるという風営法の基本原則を甘く見ているケースが後を絶ちません。


● 風営法の「接待」の定義は広く、曖昧さが命取り

  • お酌や会話の盛り上げ、膝の横に座る、ゲームの相手をする、といった行為はすべて「接待」に該当する可能性があります。

  • たとえ「形式上ホステスではない」と主張しても、実態で判断されるため通用しません



【行政書士の立場からのアドバイス】


①【「バー」や「スナック」でも、接待行為があれば風俗営業許可が必要】

  • 風俗営業許可(1号営業)が必要なのは、「接待」を含む営業形態です。

  • よくある誤解として、「少人数制」「紹介制」「バー形式」などを理由に「許可はいらない」と思い込むケースが多く見られます。

  • しかし、「客のそばに座る」「お酌する」「会話を盛り上げる」などを行えば、許可が必要です。


②【実態が1号営業なのに、深夜営業許可で代用するのは違法】

  • 深夜酒類提供飲食店営業(いわゆる「深夜営業届」)は、接待行為が一切ない前提で認められている届出制度です。

  • にもかかわらず、「見た目はバー」「中身はキャバクラ」というケースでは、風営法違反(無許可営業)で即逮捕のリスクがあります。

  • 申請段階で、「実際にどんな営業をするのか」「従業員はどんな動きをするのか」までヒアリングして、適正な申請区分を助言するのが行政書士の責任です。


③【共犯も処罰対象になる時代】

  • 本件のように、経営者だけでなく従業員・スタッフ・関係者も共犯として逮捕されるケースが増加しています。

  • 組織的に無許可営業を行っていた場合、建物の名義人、資金出資者、運営支援者なども調査対象になります。

  • 行政書士としては、申請依頼者だけでなく、経営実態に関与する全体像を確認する義務があると考えるべきです。


④【違法営業は逮捕だけでなく、行政処分・店舗閉鎖に直結】

  • 一度摘発を受けると、たとえ後から許可を取り直しても、公安委員会が再許可を渋る傾向があります。

  • また、無許可営業歴があると、将来の許可申請や法人登記などにも影響を及ぼすことがあります。

この事件は、風俗営業においてしばしば問題になる「名義貸し・反社関与・無許可営業」の典型的な組み合わせです。行政書士にとっては、「実態と形式の一致」こそが最大のチェックポイントであり、許可の可否判断に際しては、法令だけでなくモラルとリスク管理意識が求められます。

違反を未然に防ぎ、許可制度の信頼を守るために:


■ 飲食店であっても、「接待」要素があるなら風俗営業1号許可が必要

■「バー形式」でも実態が接待型なら、深夜営業届では違法

■ 申請時は「名義人」「実質経営者」「営業実態」をしっかり確認

■ 無許可営業は刑事罰に直結し、関係者全員が処罰対象になることも


行政書士は、許認可の“代書屋”ではなく、違法リスクを防ぐための専門家です。

営業形態に曖昧さがあれば、クライアントに対し厳しくても正しく法的助言を行うべきです。

そうすることで、地域の風俗営業の適正化と、業界の信頼向上に寄与できます。



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